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そのため経済性を無視できるスペースシャトルなどの特殊用途でのみ実用化された。しかし1985年(昭和60)ごろからは100℃以下で作動する固体高分子形燃料電池の性能が急速に進んできたため、一般用としてのアルカリ形燃料電池の研究開発はほとんど行われていない。このアルカリ形燃料電池では、ニッケル多孔体に白金などの触媒を添加した電極、およびチタン酸カリウムとポリテトラフルオロエチレン結着して作成した多孔性マトリックスや、アスベスト中に濃厚水酸化カリウム水溶液を含浸させたものを用いて構成されている。この単電池をニッケル製インタコネクタによりスタック化し、数気圧に加圧した純水素と純酸素を供給して常温~120℃で作動されている。(負極) H2+2OH-―→2H2O+2e- (正極) 0.5O2+H2O+2e-―→2OH- の電極反応が進み、外部回路に電気エネルギーを取り出すことができる。変換効率は45~60%である。アルカリ蓄電池は鉛蓄電池に代表される酸蓄電池に対して、水酸化カリウムKOHなどのアルカリ性水溶液を電解質に使用する蓄電池の総称として名づけられている。これらにはニッケルカドミウム蓄電池、ニッケル水素蓄電池、ニッケル亜鉛電池、エジソン電池、酸化銀亜鉛蓄電池、酸化銀カドミウム蓄電池、金属空気電池および高圧形ニッケル水素蓄電池などの種類がある。しかし、ニッケルカドミウム蓄電池がアルカリ蓄電池の代表的なものであるので、ニッケルカドミウム蓄電池の別称としてよばれることもある。アルカリ水溶液は粘度が小さいためイオンの移動に対する抵抗が少なく、導電率が大きい。たとえば、30%の水酸化カリウム水溶液の導電率は室温で 5×10-1S/cmであり、鉛蓄電池に使用される35%硫酸水溶液の7×10-1S/cmにわずかに劣る程度である。またリチウムイオン二次電池に用いられている有機電解液の導電率の約50倍であり、電池電圧では劣るものの高負荷放電と高速充電特性に優れている。 1. 酸化銀亜鉛蓄電池正極活物質に二価の酸化銀(AgO)、負極活物質に亜鉛(Zn)、そして電解液にKOH水溶液を用いたアルカリ蓄電池で、酸化銀カドミウム蓄電池とともに銀電池とよばれている。1899年にスウェーデンのユングナーWaldemar Jungner(1869―1924)によって発明された。放電反応は以下のように示され、亜鉛負極の放電反応はニッケル亜鉛電池と同じで、酸化銀正極の放電反応は2段に進む。
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(亜鉛負極) Zn+2OH-―→Zn(OH)2+2e- (酸化銀正極) 2AgO+H2O+2e-―→Ag2O+2OH-  Ag2O+H2O+2e-―→2Ag+2OH- したがって放電反応は以下のように示される。 2AgO+Zn+H2O―→Ag2O+Zn(OH)2  Ag2O+Zn+H2O―→2Ag+Zn(OH)2 (全体) AgO+Zn+H2O―→Ag+Zn(OH)2 となる。充電反応はこれらの逆である。第1段の電池反応の起電力は1.81ボルト、また第2段は1.58ボルトであり、2段階の充放電電圧を示す。正極には多孔率約60%の焼結式酸化銀極板が用いられ、負極にはペースト式亜鉛極板、セパレーターにはセロファン、ポリビニルアルコール(PVA)膜やポリエチレン膜、そして電解液は30~40%KOH水溶液が使用される。短時間率放電においても電圧の平坦(へいたん)性はきわめてよい。しかし低温放電特性はよいとはいえない。また短時間率充電は好ましくなく、10~20時間充電すれば良好な充電効率が得られる。過充電は電池寿命に悪影響する。充放電サイクル寿命は短い。エネルギー密度は高率放電用のもので116Wh/kg、また低率放電用では123Wh/kgで、アルカリ蓄電池のなかでは最高である。高価ではあるがその特性を生かして、軽量であることが求められるロケットや人工衛星などの宇宙開発の分野をはじめ、海洋開発分野の深海調査船、水中カメラ、軍用の魚雷、ミサイルなどの特殊電源に使用されている。なお、正極に酸化銀、負極に亜鉛を用いる一次電池の酸化銀電池があり、ボタン形が電子式腕時計やカメラ、電卓、電子玩具、電子体温計などに用いられている。しかし高価であるため、アルカリボタン電池やボタン形リチウム電池などにシェアを奪われている。 2. 酸化銀カドミウム蓄電池酸化銀亜鉛蓄電池の亜鉛負極のかわりにカドミウム負極を用いたアルカリ蓄電池である。酸化銀正極の放電反応は酸化銀亜鉛蓄電池と同じであり、またカドミウム負極の放電反応はニッケルカドミウム蓄電池と同じである。したがって電池全体の放電反応は以下のように示される。 2AgO+Cd+H2O―→Ag2O+Cd(OH)2  Ag2O+Cd+H2O―→2Ag+Cd(OH)2 充電ではこの逆過程の反応が進む。電極反応は2段に進み、それぞれの起電力は1.37ボルトと1.15ボルトである。電池の構成はカドミウム負極板を使用することを除いて酸化銀亜鉛蓄電池とほとんど同じであるが、密閉化しやすく、円筒小形蓄電池とすることができる。短時間率放電と低温特性は酸化銀亜鉛蓄電池より劣るが、過充電に強く、充放電サイクル寿命が長いため、酸化銀亜鉛蓄電池の欠点を補い、また磁性のある原材料を使用することなく製作できるので、非磁性であることが必要な科学衛星に使用されている。 3. 高圧形ニッケル水素蓄電池負極に水素吸蔵合金を使用するニッケル水素蓄電池と異なり、活物質には高圧水素ガスを用い、その負極には燃料電池に用いられる白金系触媒を担持した炭素粉末をフッ素樹脂で結着して作製したガス拡散電極を使用する。そして水酸化カリウム水溶液を電解液として含浸させたセパレーターをオキシ水酸化ニッケル NiOOH正極とH2ガス拡散負極で挟んだ発電素子自身を、高圧H2ガスを貯蔵する圧力容器内に収納した構造となっている。

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